一人暮らしを始めてから、いかにして快適な空間を作ろうかというのをよく考えています。
自分にとっての「快適な空間」とは何なのか、今一度考えてみると「お洒落であること」の比重が大きいように感じます。
では部屋をお洒落にするためにはどうしたら良いのか、その答えの1つとして思い浮かぶのが「間接照明の設置」です。
ただ、日常の全てのシーンを間接照明だけでまかなうことはできません…。例えば食事の時などは間接照明だけでは暗すぎます🥲
かといってちょっと夜更かしして作業したい時やリラックスシーンでは直接照明(シーリングライトなど)は明るすぎる…
間接照明というものも単に1箇所に置くだけでは効果を十分に発揮しない場合も多く、複数の照明をいい塩梅になるように組み合わせて配置する必要があります。
となると、日常のシーンごとに部屋中に散らばったスイッチを手作業で切り替えていくのは結構手間です。
そこで思いついたのがスマートホーム化というわけです。
『iPhoneのショートカットからボタン1タップで一気に照明を切り替えてシーンチェンジできたら良いのに!』
『ついでに寝る前に照明とエアコンとテレビを一括で電源OFFできるようにしたい!』
そんな願いを叶えるために、自分にとってのスマートホームのベストプラクティスをどう構築すればいいのかを調べてみました。この記事では、その備忘録かつ2025年初頭のスマートホームの現状を記録してみます。
スマートデバイス化したいものの一覧と必要なもの
そもそもまだ全ての間接照明を買い揃えられていないので、想像で書いている部分もありますが、大まかには
- 間接照明1 (コンセントプラグ)
- 間接照明2 (コンセントプラグ)
- 間接照明3 (コンセントプラグ)
- 間接照明4 (コンセントプラグ)
- シーリングスポットライト1 (赤外線)
- シーリングスポットライト2 (赤外線)
- エアコン (赤外線)
- テレビ (Android TVだけど今回は赤外線操作※理由は後述)
の8デバイスをスマートデバイス化しようと考えています。
シーリングスポットライトはどちらも同型のもので受け取る赤外線信号も同じなので実質7デバイスですかね👀
間接照明は頭の中でイメージしている個数なので今後増える可能性大です笑
括弧の中は何を媒介にしてスマートデバイス化するのかを示しています。
そしてこの8デバイスをスマートデバイス化するためには最低限
- 間接照明分のスマートプラグ (ただしON/OFFを個別に切り替えなくても良い場合は電源タップでまとめられる)
- スマートリモコン
が必要になります。
ほかに、Matter(後述)対応製品でThread(後述)という規格で通信するスマートデバイスをiPhoneなどから操作したい場合はHome Podシリーズなどの「ボーダールーター」が必要になります。(ただしiOS18以降かつiPhone 15 Pro以降があれば不要のようです)
逆に言うと、Matterによる接続であっても接続方式がWi-FiなどThread以外である場合はボーダールーターを用意する必要はありません。例えばこちらの記事なんかでは、そもそもMatter製品をHomeKitで操作するにはボーダールーターが必要かのような記述がなされていますが、そんなことはありません。(ボーダールーターなし・iPhone 14 ProのiOSホームアプリからWi-FiでMatter対応デバイスの操作が可能なことを自分の環境で動作確認済み)
また、ボーダールーターは異なるプラットフォーム間における互換性が保たれているようなので、例えば
iPhoneのホームアプリ --- (Wi-Fi) --- Wi-Fiルーター --- (Wi-Fi) --- Google Nest Hub Max --- (Thread) --- Threadで通信するスマートデバイス
という通信も可能な気がします。 (検証していないので本当にできるかどうかはわかりません😭)
MatterとThreadについて
先ほどから何回も登場している「Matter」と「Thread」についてです。
こちらの記事が非常にわかりやすく詳細にまとまっているので深堀りしたい方はリンク先を参照していただくとして、簡単に説明すると
- Matter
- SwitchBotやIKEA Home smart、Google Home、Amazon Alexa、Apple HomeKit、SmartThingsなど、それぞれの企業がスマートホーム市場を独占したいがために乱立してしまったスマートホームの通信規格を統一しようとする働きかけによってCSA (無線通信規格標準化団体)が2022年10月にリリースしたオープンソースの共通通信規格。
- 共通規格(≒通信プロトコルの自由度が下がる)なので例えばNature RemoシリーズではAlexaに直接接続したときはエアコンの風向きがコントロールできるのにMatter経由でAlexaに接続するとできないなんてことも今のところあります。(ソース)
- Thread
- Matterで使用されることのある接続規格 (Matterに乗っかった接続はWi-Fiやイーサネット経由でも可能なのでこういう表現)
- Matterで使う接続としてThreadを使用するのか、はたまたWi-Fiなど他の接続規格を使用するのかは製品によって異なる。
- Matterと1:1で紐づいている接続規格ではなく、Matter登場の8年前から存在はしていた。
- Matterでは政治的理由(?)でペアリング時以外はBLEは使えないような規定になっているので、Matterに乗っかって省電力な通信を行いたい場合にThreadが使われることが多い。ちなみにBLEと比べてもThreadの方が低遅延とのこと。
といった感じになります。
今回スマートホーム化するにあたってMatter対応製品で固めようと思っていて、理由としては
- Apple HomeKitで操作できるから
- 標準規格に則っているというのは今後大きなアドバンテージになり得るため
の2つになります。
Apple HomeKitで操作できるから
前提としてApple HomeKit対応のスマートデバイスというのは絶対数が少ないです(Appleの認証基準が厳しいから?)
製品の数が少ないということは単純に選択肢が限られる上に、類似品よりも高価になりがちです。
(とはいえ現状ではMatter対応製品も同じぐらい少ないです…。じゃあなんでわざわざMatter対応製品選ぶの?って言ったら2番目の理由が大きいです。)
それでも自分はiPhone / Macを使っているのでAppleデバイスとの親和性が高いApple HomeKitでスマートデバイスを操作したいです。
MatterとApple HomeKitは互換性があるので、Matter対応製品を使うことによってApple HomeKitからスマートデバイスを操作できるようになる、これが1つ目の理由です。
とは言ったものの、例えばSwitchBotでは物理デバイスというよりアプリ側をiOSと連携強化させることによってiPhoneから操作しやすくするというアプローチを取っており、ホームアプリからこそ使えませんが、ショートカットAppだったりウィジェットからのスマートデバイスへのアクセスがしやすくなっているおかげで、ホームアプリとほぼ変わらない操作性が担保されています。
この動画が結構わかりやすいです。
以上の理由から、2025年初頭においては「iOS / Macのホームアプリからスマートデバイスを操作できるようにする」というのがMatterの存在意義になってしまっているのが現状です😖
標準規格に則っているというのは今後大きなアドバンテージになり得るため
まだまだ対応製品が少ないMatterですが、今後は対応製品数も増えていくことが予想されます。
Internet ExplorerがWeb標準から背いた結果、Webの世界で支持を失ったように、標準規格に則ることはその分野での絶対的な信頼や支持を得るための鍵になります。
Matterに準拠した環境を用意しておけば、今後登場する新しいデバイスやサービスとも互換性を保ちやすいため、スマートホームシステムの拡張が容易になることでしょう。
将来を見越して最初から環境を整えておく、これが2つ目の理由です。
スマートプラグとスマートリモコンを今揃えるとしたら?
では前述の通りMatter対応製品に絞って、スマートプラグとスマートリモコン、今買うとしたらどの製品が良いのかを考えてみます。
スマートプラグ
コンセントプラグを通電させるかのON/OFFをスマート化します。
Matterに対応し、日本で入手しやすいスマートプラグは今のところTP-LinkのTapo 110Mのみかな〜と思います。
SwitchBotもスマートプラグを出していてApple HomeKitにも対応しているのですがMatter非対応で単価も若干高い。
しかし後述のSwithBot ハブ2 or ハブミニを使用するとハブがMatter対応しているのでハブ経由でスマートプラグのMatter対応が可能。ややこしいですね。
接続フローを簡単に表すと
iPhoneのホームアプリ --- (Wi-Fi) --- Wi-Fiルーター --- (Wi-Fi) --- SwithBot ハブ --- (Bluetooth) --- SwitchBotのMatter非対応製品
となります。違法増築感。
SwitchBotの製品を使うためにSwitchBotのハブが必要…みたいな事態が今後も続かないようにMatterという規格が策定されたのに、SwitchBotのスマートプラグをMatter対応させるために
SwitchBotのハブを買うというのはなんだか本末転倒な気がしますよね…。
だったら最初から単体でMatter対応のTapo 110Mのようなデバイスを選んでおいたほうが合理的かと思います。
スマートリモコン
赤外線で操作するデバイスのスマート化に必要です。
Matter対応、かつ日本で入手可能な有名どころのメーカーの製品となると
のどれかになるのかなと思います🧐
ただし、このうちハブミニはMatter経由の機器操作が4台、Nature Remo Nanoは3台までに限られるので、価格こそ安いですが実用性には欠けそうです。(もちろんSwitchBotアプリやNature Homeアプリを経由した操作であれば台数に制限はありません)
ハブ2はMatter経由の機器操作は8台、Nature Remo Nanoは20台(!)までいけます。
何故こんなに台数制限に開きがあるのかはさておき、とにかく沢山のスマートデバイスをMatter経由で連携させたい方はNature Remo Nano一択な気がします。
とはいえハブ2には温度/湿度のディスプレイやボタンが付いているので、Matter経由で連携させたいデバイスの台数はそこそこに、スマートリモコン自体にも機能が欲しいという方はハブ2の方が良い選択となるのかもしれません。
(番外編) スマートボタン
iPhone (Apple HomeKit)やAlexaといったプラットフォームから家電を操作するためにMatterでそれぞれの機器を連携させるために奮闘してきたわけですが、時には物理ボタンで操作したくもなります。
が、調べてみた感じ少なくともAmazon.co.jpにはMatter対応のスマートボタンというのは無さそう?
大陸通販も調べてみましたがMatter対応のスマートボタンはあれど通信方式がみんなWi-Fi。バッテリーがすぐ無くなりそうだけど大丈夫なのだろうか…。
StreamDeckからAWSを経由してAlexaの定型アクションを実行することによって物理ボタンで家電を一括操作!みたいな手段を取れないこともないようですがこのためだけにStreamDeckを購入するのも忍びないですよね。
他にはApple HomeKitに対応していてThreadで通信するスマートボタンがAmazon.co.jpにあるのですが、Matter非対応なので例えばAmazon EchoをボーダールーターにしてApple HomeKitから操作する、といったことはできません😇
操作される側のデバイスはMatter対応製品で固めつつ、操作する側はApple HomeKitで固めている場合は良い選択肢となりそうです。
Home Assistant
Matter対応に重点を置いてどのスマートホーム製品を選ぶのか吟味してきましたが、ラズパイなどを自宅でサーバーとして稼働させられる環境と知識があれば、Home Assistantを使用するのも1つの手です。(HomeKitにさえ対応すれば良いならHomebridgeもあり)
異なるメーカーのスマートデバイスの通信をインターセプトすることによって一元管理できるようにするオープンソースのシステムで、Home Assistant専用のOSをサーバーにインストールして稼働させることもできますし、Dockerコンテナとして立ち上げておくこともできたりと環境構築の自由度が高いです。
例として、Home Assistantサーバーが家に1台あり、そこにHomeKit Bridgeとhass-nature-remoというインテグレーションを追加するとMatter・HomeKit非対応のNature RemoシリーズのハブであってもHomeKit経由で操作できるようになったりします。(SwitchBotの例ですがこちらの記事に詳しくまとまっています)
Matterが「製品側が共通規格に沿った通信をするようにする」という考え方だったのがHome Assistantでは「散らばった通信規格をHome Assistantが全て仲介して適切なフォーマットに変換する」という考え方になっています。
ロマンはありますし自分のスキル的に対応できる内容だったので一瞬導入しようか悩んだのですが、保守が面倒そうだなあと思って見送りました…。
〆
2025年初頭のスマートホームの事情を踏まえつつ、今スマートホーム環境を構築する場合のベストプラクティスについて考えてみました。
Matter登場から2年以上経過したとはいえ、スマートホーム界隈はまだまだ黎明期な感じがします。
5年後、10年後、今のカオスな状況がどうなっているのか今から楽しみです。
Matterという規格自体が無かったことにされている可能性も十分あり得る気がするんだけどどうなんだろう…。
コメント