iOS6で動くiPhone 4sを令和の時代に蘇らせる方法

あなたが最も好きなiOSは何でしょうか？

ロックスクリーンの時計のフォントが変えられるようになった最新のiOS16でしょうか、はたまた初めてフラットデザインが採用されたiOS7でしょうか。

個人的にはiOS5が一番好きです。初めてiOSデバイスを購入した時、プリインストールされていたバージョンだから思い入れがあるというのもありますし、何よりあのスキューモーフィズムデザインを踏襲したリッチなUIを今でも気に入っているからです。当時はまだ、iOSの純正アプリとしてYouTubeが存在していた時期でもありました。

時は2022年、ふと「当時のiOSで4sとかまた使ってみたいな」と思ったことがありました。

筐体の4sはヤフオクやフリマサイトを漁ればそれなりの状態のものがすぐ出てきますが、「当時のiOS」というところが問題でした。4sのiOS最終バージョンは9.3.6。当然旧iOSのSHSHも発行終了してるし、どうしたものかとダメ元で調べてみたところ…

なんと、iOS6ではありますがダウングレードする方法があるじゃないですか。しかもアップロードが2ヶ月前。これはやるしかねえ！と意気込んで、早速ラクマでiPhone 4sのホワイト・16GBモデルを2000円程度で購入しました。

バッテリーもホームボタンも使えるし、外装も傷なく程度は良好。やはりインストールされていたのはiOS9.3.6でした。

それでは早速この4sをiOS6にダウングレードしていきましょう！(Windows PCが必要です)

備忘録として手順は記載しますが、何が起こっても自己責任でお願いします。

この記事は、先程の検索結果に出てきた動画を参考に執筆しました。

iOS9.3.6を脱獄する

兎にも角にもまずはiOS9.3.6の環境で脱獄します。ここはダウングレードとは直接関係ないので説明はざっくりです。

自分は『Blizzard Jailbreak』というツールで脱獄しました。ipaはGitHubのReleasesから最新バージョンのものを落としましょう。

ipaのインストールはAltServerから。「Sideload .ipa」を使えばiOS9でも問題ありません。

あとは普通に画面の指示に従うだけです。

これは余談ですが、どうやら今年(2022年)に入ってからiOS9.3.6対応の脱獄ツールが3つもリリースされているみたいです。どういった風の吹き回しなのでしょうか。

kDFUAppをインストールする

ダウングレード後のCydiaのスクショで申し訳ないのですが、「http://repo.tihmstar.net」というURLのリポジトリーを追加後、「kDFUApp」というパッケージをインストールします。

3uToolsをインストールする

次はPCに3uToolsをインストールします。

でこの3uToolsなんですが、それなりに名の知れたソフトとはいえ、このような件もあるのでインストールする方はくれぐれも自己責任で。仮想環境を作ってそこにインストールしてやるのも良いかもしれません。

覚悟を決めた方は3uToolsの更新履歴ページを開き、Windows 11、もしくは10なら『2.38』、Windows 8.1以前のバージョンなら『2.17』のインストーラーを落としてインストールします。

enter kDFU

iPhoneをPCに接続し、先程インストールした『kDFUApp』を開きます。(ホーム画面にアイコンがあります)

「Find Bundle」「Download iBSS」「Find iBSS」「Pwn iBSS」の4つのトグルスイッチを全てオンにして、「enter kDFU」ボタンをタップします。しばらくするとiPhoneが再起動し、DFUモードに入ります。(この時、iPhoneの画面は真っ暗なままです。)

ファームウェアをダウンロードする

iOS6用のファームウェアをダウンロードしておきます。直リンクです。

http://d.updater.3u.com/3utools/configs/ota613/ota_iPhone4,1.ipsw

d.updater.3u.com

ファームウェアを書き換える

この手順を行うともれなくiPhoneのデーターが初期化されるので、必要に応じてバックアップを取っておくなどしてください。

但し、iOS9でバックアップしたデーターはiOS6に復元できないはずです。(検証はしてないけど絶対そう)

3uToolsに戻り、DFUモードに入ったiPhoneとして認識されているか確認します。

確認が済んだら、画面右下の「Go Flash」ボタンをクリックします。

次に、上部のタブバーから「Pro Flash」を選択し、右側に出てくるメニューから「Import Firmware」を選択します。

ファイルの選択ダイアログが開くので、先程ダウンロードしておいたファームウェア(ipsw)を選択します。

Current Firmwareが今選択したipswファイルを示していることを確認して、横の「Flash」ボタンをクリックします。

警告が出てきますが「Flash Anyway」で先に進みます。

ログに「Flash is completed」という文言が出るまで待ちます。今回は完了までに5分26秒かかっていますね。

処理中にケーブルなどは絶対抜かないようにしましょう。ファームウェアの書き換えなのでやらかすと恐らく文鎮化すると思われます。

数回の再起動を経た後、夢にまで見たiOS6のセットアップ画面の御出座しです。

というか、切れ目の入ったAppleロゴが目に入ってきた時点で既にテンション上がりました。iOS7からブートロゴってずっとフラットなAppleロゴですからね。

久しぶりにiOS6を触った感想

せっかくダウングレードしておいてこんな事言うのもなんですが、はっきり言って実用は不可能ですw

もちろん予想はできていたんですけどね。

丁度10年前(2012年)リリースのOSということで、YouTube、Instagram、Twitterなどの有名サードパーティ製アプリのサポートはもちろん打ち切られてますし、画面サイズが小さい(メディアクエリの関係？)、Safariも古すぎてろくにWebサイトも見れません。(このブログは普通に見れちゃった)

極めつけは、Apple IDでログインできません！

2ファクター認証ができないんですよね。メッセージは出るんですけどワンタイムパスワードの入力画面が一向に出て来ない…

(2023年5月21日追記：コメント欄で情報いただきまして、予めワンタイムパスワードを生成しておいて、パスワード入力欄に続けて生成したワンタイムパスワードを入力したらログインできました。例えばApple IDのパスワードがpasswordで、生成したワンタイムパスワードが123456だったら、パスワード入力欄にpassword123456と入力するということですね。)

できることと言えば、電話、写真・動画撮影、音楽鑑賞、軽いWebサイトの閲覧、などApple純正アプリでできること、その程度です。

しかしながら、やはり片手サイズにあの美しいニューモーフィズムスタイルが広がっていて、しかもそれを操作できるということだけで、わざわざ4sを買ってiOS6にダウングレードした価値というものを感じます。今後数十年に渡って保管しようと本気で思えるようなコレクションになりました。

iOS6.1.3脱獄に関する余談

iOS6.1.3で脱獄する場合『p0sixspwn』というツールを使うことになるのですが、これを普段使っているWindows 10のPCで動かそうとしたら「posixspwn requires iTunes 9 or above!」というメッセージが出て脱獄できませんでした。

iTunesの最新版は12なのでエラーメッセージが主張する要件はクリアしているのですが、どうやらposixspwnの仕様が古すぎて対応できてないようです。

iTunesは普段から使うので、バージョンを落として面倒なことになりたくないなーと思い、渋々VMWareにWindows 10をインストールし、そこにiTunes11.4.0をインストールして脱獄しました。脱獄よりWindows 10の初期設定の方が10倍面倒くさかったです。

11.4.0を入れた理由ですが、単純に成功例が多かったからです。11.4.0のインストーラーを引っ張ってきて入れました。

以上、参考までに。